藁細工職人の上甲清さん

 

今年の1月に愛媛県からわざわざヘリテージに来て下さって、ほうき作りのワークショップをして下さった藁細工職人の上甲清さん(当時87歳)。次は私たちが会いに行きます!と約束して2ヶ月、愛媛県西予市宇和にある清さんの工房へ伺いました。常に清さんに寄り添いマネジメントをする孫の智香さんとともに、元気いっぱいに迎えて下さいました。

 

 

昔から何でも手作りする、という清さんが自ら大工工事をして部屋を広くしたばかりの工房にて。注連縄作りに使う道具や材料がたくさんありました。もちろん道具も手作りです。清さんがいつも座る所は、作業しやすいよう足元が穴になっています。もちろんこの穴も清さん作。

 

私たちのために神棚用の注連縄を作って下さる!ということで、事前に準備を進めて下さっていました。

 

 

細かく説明してくれつつ、体勢を変えながらどんどん綯い進めていきます。するするするっと、目にもとまらぬ速さで、とても簡単そうに。

 

清さんが作業中は、横でアシスタントをする智香さん。おじいちゃんが道具を探してると、スッと動いて探します。

そうして、あっという間に注連縄完成~!

 

私たちの目の前で作ってくださった神棚用の注連縄、家宝にしたいと思います。

 

愛媛県といえばみかんジュース。濃厚で美味しかった。

 

 

 

 

注連縄の次は、鶴を作るところも見せて下さいました。この鶴だけは智香さんと二人で作るそうで、あうんの呼吸で作業を進めます。私たちが見たのは、最後の鶴の形を作っていく所でしたが、ここまでに来る前の段階の部品の準備に、膨大な時間と手間がかかるそう。それらを注連縄作りの繁忙期を迎えるまでに、出来るだけ進めておくそうです。

 

この時に完成した鶴もなんと、いただけることに!また家宝が増えました。

 

 

宝結びやえび締め・亀や鶴などをあわせて、年間で数百個も作られるそう。繁忙期の12月ごろには、おふたり二人三脚で手の指紋が無くなるほど藁と向き合っています。。それでも病気をして寝込むこともなく、毎日元気いっぱいに働く清さん。

 

 

もともと米農家である清さんは、お米の種を準備するところから、注連縄の材料となる米作りが始まります。4月のこの時期、もちろん田んぼに稲はありませんが、清さんのビニールハウスでは、水槽の中で、田植えのための種の準備が進んでいました。5月に田植え、夏の終わりに稲刈りをしたら、ここにずらっと稲を並べて乾燥させます。

 

その横を流れる水路の水がとても綺麗で、清さんの注連縄はこの水で育つ稲で作られることも知りました。

 

 

周辺の田んぼには「わらぐろ」と呼ばれる大きなかたまりがぽつぽつと見られます。これは、わらを乾燥し貯蔵するためのもので、清さんはこの風・わら文化を後世に残すための活動『宇和わらぐろの会』の会長もされています。大きなわらマンモスも親子でいましたよ~

 

 

工房には小さなわらぐろもありました。かわいかったー!

短時間の滞在でしたが、たくさんのおもてなしやお土産を頂き大充実の訪問となりました。清さん智香さん、本当にありがとうございました。

 

今年の10月、ヘリテージでは、上甲清さん単独の『しめかざり展』を開催する予定です。その頃、清さんは88歳になられていますよ!皆さん楽しみにしていてくださいね。