2017/01 - 2018/06
K邸完成までの道のり
理想の家づくりにむけて動きだしたご夫婦と一緒に、昨年末から土地さがしをしています。自分たちが理想とする暮らしをはっきりイメージしていて、それに向かってやる気と行動力があるご夫婦。平日にインターネットで気になる土地を探しておいて、ご主人が休みの週末にうちの夫とともに数か所実際にぐるぐる車で見てまわっています。ご本人たちがとても意欲的なので、夫も張りきって協力しています。おふたりがもとめる理想の土地にめぐりあえますように。
2017/01/10
続・あるご夫婦の家づくりのお話。お正月明けに土地探しをしている話を書きまして、のその後です。精力的に土地探しをした結果ついに理想的な土地にめぐりあえ、これからの土地購入やローンの申請にむけて準備を着々と進めています。毎週末お休み返上で打ち合わせ、ご夫婦もよく勉強されていてとても楽しそう。一番楽しそうなのはうちの夫ですが...。今日もまさに今、白熱の打合せ中です。
新築一軒家を建てるT様ご夫妻の話。前回、土地が決定したというところまで話が進んでいました。それから毎週のように打ち合わせを重ねて、ついに7月中旬から現場が動き始めました。ご夫妻が家を建てようとしている土地には古家(写真上)が建っており、それらを解体して新築の一軒家を建てるという計画です。
7月の大雨真っ只中に始まった解体工事が無事に終了して、現在は綺麗な更地になっています。小高い丘の上にあって眼下には田畑が広がり見晴らしは最高。キャンプやスキーなどのアウトドアが大好きなご夫婦が選んだ自然豊かな美しい場所。ここにヘリテージがデザインする一軒家が建ちます。
今週末はいよいよ地鎮祭!
8月、古家の解体工事を終えた宮若市に新築戸建を建築予定のT様ご夫妻。月に2.3度程、毎回数時間にわたるみっちりとした打ち合わせを重ねています。聞きなれない言葉や難しい説明もあると思いますが、時間をかけて粘り強く夫の話に聞き入ってくれています。30代前半のご夫婦ですが、暮らしや住まいに大変興味が深く、とてもこだわりをもって家づくりに取り組んでいらっしゃいます。そして今日から宮若市の新築現場では基礎工事がスタート。年明けにはいよいよ棟上げです。
宮若市のT様邸、基礎工事が始まっています。かなり標高が高い場所にあるこちら、田んぼに囲まれ眼下には気持ちのいい景色が広がります。遮るものがなく空が広い!この日もかなり寒く小雪舞い散る中、職人さんたち頑張っておられました。アウトドアが趣味のご夫婦にぴったりな自然豊かな土地に、いよいよマイホームの夢の第一歩を踏み出しました。
宮若市に新築マイホームを計画中のTさんご夫妻とともに、いよいよ来週にせまった棟上げを前に、朝倉市にある杉岡製材所へ行ってきました。T邸でつかわれる木材がたくさん準備されていて、代表の杉岡さんが丁寧に説明してくださいました。その時の様子をご夫妻がたくさん撮影してくれたので掲載させてもらいますね。左から、施主のTさん、中央が木挽棟梁の杉岡さん、右端が設計者であるうちの夫(ヘリテージオーナー)、撮影はTさんの奥様です。
たくさんの写真を提供してくださいました。Tさんありがとうございました。棟上げが楽しみですね!
宮若市T様邸、棟上げ後の様子です。現場は山の上とあってかなりかなり寒いです。こちら福津市勝浦が雪降っていなくても、現場は吹雪だったりして過酷な状況です。この日は完成したばかりの屋根につららが何本も。そんな中大工さんたちは一日中働いてる訳ですから本当に素晴らしいです。改めて尊敬します。施主であるT様夫妻はアウトドアが好きで、真冬の雪山に登ったりするそうなのできっとこの過酷な状況も楽しんで暮らせるんでしょうね。
さて、肝心の建物、全貌が見えてきましたよ。
板金屋根の部分は二重垂木にして通気をとっています。母屋に野垂木→野地板(無垢材)→ 遮熱シート → 野垂木 → 野地板(無垢材)→ ルーフィング(防水材)→仕上げの屋根材、という順番で施工しています。壁の中を通った空気が写真2枚目に見える通気口から垂木の間を通り、3枚目の棟換気から外部へ排出されます。天井内の暖気もまた、棟換気から外部へ排出されます。工事としては手間がかかりますが、居住性はもちろん家を長持ちさせるために重要な部分でもあります。野地板は屋根面の剛性をとるためやコストを考えて構造用合板を使用する場合が多いようですが、弊社では必ず野地板にも無垢材を使います。
手間もコストもかかるのになぜ無垢板を使うのか?それは家を長持ちさせるために必要だと考えるからです。屋根は外部からの水分(雨や雪)にさらされる最も過酷な場所であると同時に、内側からの水分(内部結露)からも守ることが重要となります。
※内部結露についてはまた別の機会に説明したいと思います。
構造用合板は水分(結露)が加わることにより、悪いとカビや微生物によって腐敗が始まります。合板が柔らかくなりやがて屋根材を支えきれなくなります。雨漏りの原因にもなりえます。屋根材からの雨漏りと思っていたが、調べてみるとこの結露だったということもあるそうです。結露が滞り、天井にしずくが落ちて雨漏りのように天井を濡らします。【板金屋さん談】 比べて無垢材は、結露(湿気)を吸収してもちゃんと乾いてくれます。二重垂木による通気層は熱気を排出するためだけではなく、野地板の乾燥を促進するためでもあります。このことにより野地板が腐りにくくなり、結果屋根が長持ちするのです。
写真奥の棟の屋根、ガルバリウム鋼板を葺き終わりました。これから中央の大屋根と手前の屋根にいぶし瓦を葺く工事が始まります。
瓦葺きの作業も順調に進んでいます。今週はすこし気温があがるようなので、職人さんたちも動きやすいでしょうか。今年は本当に寒い日が多いので早く春が来てほしいものですね。
宮若市のT邸です。しばらく間があきましたが、良い天気が続き工事も順調に進んでいます。
玄関部分
玄関庇
少し変わった意匠にしました。
和室天井
ここは意図的に部屋を小さく天井の高さを抑え籠ったような雰囲気の設計にしました。そこで壁にアールの部分をつくることで柔らかい印象になるよう仕上げていきます。
外壁を張り始めました。杉の無垢材です。通常既製のものだと10~12mmほどの厚みですが、今回使っているこちらの杉材は18mmもの厚みがあってとても贅沢です。これから一階部分は杉材を棟によって張り方を変えていきます。そして二階部分は漆喰の塗り壁になる予定です。
室内、納戸と寝室の天井にも杉の無垢材を。この部屋は壁も床もぐるっとすべて杉材で仕上げていきます。壁と天井には羊毛(ウール)の断熱材がふんだんに入っています。
こちらはダイニング側から見たリビング。奥の右端が玄関、そして納戸、和室、廊下にトイレ、左奥が和室リビングから一段下がった左端は土間になります。
これがその土間です。右側の大きな窓からは一面田んぼが広がる美しい景色をながめることができます。
宮若市T邸、リビングダイニング・吹抜けのロフトにあたる部分の天井です。杉(柾目)の無垢材がはり巡らされており、下から見上げると思わず「おぉ!」と声が出ます。
リビング側からダイニング・キッチンを臨む。ロフト下がキッチン、右の奥にパントリー(食品庫)左奥には、廊下・洗面室・脱衣室・浴室、と続きます。
LDKの壁は最後に漆喰で仕上げていきます。
こちらは玄関横にある寝室。壁も天井もぐるりと杉の無垢材に包まれています。
ふんだんに使われた無垢材がとても美しい。
右側の玄関棟と左側の浴室がある棟、写真ではわかりづらいですが外壁の無垢板のはり方を変えてあります。二階部分は(現在は下地になる木摺り板の状態)最後に登場する左官職人の塗り壁になります。立派な建物です!
宮若市T邸の玄関からつづく廊下部分です。右側に壁も天井も杉無垢張りの寝室、廊下を進み右側にトイレと手洗い場、その奥に和室、そして廊下の突きあたりを左にはいると、土間と広いLDKが広がります。
寝室と玄関からつながる納戸です。こちらも寝室同様、壁・天井は杉無垢に包まれています。
玄関からつながる廊下の先に広がるLDKです。広いロフト下のキッチン部分からリビング側を撮影しています。左端にある小さな窓が廊下の突き当りで、その奥の小部屋が和室、左手前の一段下がっているところが土間。
土間の大きな窓からは気持ちよい田んぼの風景がひろがります。
リビングの天井は吹抜けになっていて解放感が気持ちいい。
写真ではわかりづらいのですが、廊下の上の部分になるところも細いロフトになっていて、和室の屋上に出れるようになっているのです。天井の両側が勾配になっています。(板の張り方が変わっているところ)
キッチン奥の廊下から洗面所・脱衣所・浴室へつづきます。「コ」の字型に家が建っているのがわかりましたか?どの部屋にいても風がとおり光が降り注ぐよう設計しています。
先週末より左官工事がはじまりました。左官職人は、ヘリテージの店舗と自邸を建築する際にもお世話になった大分県豊後高田市のLODO WORKS 江口征一氏です。はるばるありがとうございます!
まずは和室の外壁をモルタルで仕上げていきます。ヘリテージのお店へ実際に来られた方は当店の外壁を覚えてくれてますでしょうか?当店もお店の外壁の大部分をモルタルで仕上げています。この写真では下塗りの段階で、仕上げはもうすこし手を加えておもしろくなる予定です。
続きまして二階部分の外壁は漆喰で仕上げていきます。今塗っているのは下地の漆喰で、漆喰に砂を混ぜて砂漆喰を作り、それを塗りつけています。この砂も通常は手に入らないような特別なものをわざわざ取りに行ってくださり、それを調合してます。(そんな細かいところまで気を遣ってくださっています!)引きの写真が無いのですが、木製の外壁部分とのコントラストがとても美しいです。
こちらが江口さん。暑い中ご苦労様です!明日からしばらく天気が崩れそうなので急ピッチで進めてくださっています。
左官職人江口氏と施主ご夫妻。外壁のモルタル仕上げと漆喰仕上げ、内壁の漆喰仕上げ、それぞれの色とテクスチャーを決めています。この建築現場の土を漆喰に混ぜて色を作るのです。
左官職人、外壁を塗り始めました。
カバーがされているところは木製の建具になります。木製建具は弊社オーナー(設計士であり家具職人)が現在工房で製作しています。
漆喰・土・石灰砂・藁などを絶妙な配合で混ぜて仕上がった壁。この写真で藁が混ざっているのがよくわかります。藁は土同士の「繋ぎ」として入れられ、土壁の亀裂を防止して強度を保持する目的があります。
角度と光の加減でもまた違った雰囲気に見えますが、上の写真と同じ壁です。立体的でとても風合い良く仕上がっています。自然素材の家、とても気持ちが良いですね。田んぼや山に囲まれた静かな田園風景にとてもよく馴染んでいます。
こちらは和室の土壁になる材料です。これから仕上げていきます。
和室の外壁、モルタルの二度塗り目にはいります。
表面を掻き落とし、乾燥すると漆黒がすこしやわらぎ濃い墨色のような感じになりました。
モルタル掻き落としの壁。モルタルに色粉、スサ(藁)、石灰砂、現場の石と土、他にも様々な物を絶妙な配合で混ぜ、計9種類もの材料が混ざったこの現場でしかできない壁。荒くもあり、柔らかくもある、何とも言えない素晴らしい壁ができました。
左官職人のこんな遊び心も。
二階部分はこの建築現場の土を混ぜて仕上げた土漆喰壁です。クリーム色がかっていてとてもやわらかな印象です。
二階部分はぐるりと土漆喰壁、綺麗に仕上がりました。
家の顔である玄関には無垢の木をふんだんに使っています。それでは中へ。
広縁と寝室。廊下は漆喰仕上げの下地塗りの段階です。すっきりした白い壁に仕上がる予定です。床はまだ養生されていますがその下には杉無垢材が敷き詰められています。
広縁の先の廊下。ここは意図的に狭く暗く(影)設計してあります。右側に御手洗い、つきあたりに和室。
和室も下塗りの段階、奥の窪みが床の間になります。
大工の中西さん。随所に丁寧な大工仕事が見られます。
そして仄暗い廊下の先に広がる、土間空間とLDK。高い天井が気持ちよい解放感です。
土間の頭上には美しい漆喰の白壁。
台所側から見た図。奥の一面だけ壁の色が違うのです。
近づいて見るとこちら。画面では白に見えますが、実際は燻炭を大量に混ぜ込み、その粒がほんの僅かに見えるため、かすかにグレーがかって見える漆喰壁と現場の土を混ぜた土漆喰壁。色だけではなくテクスチャーも変え、表情豊かな壁になっています。壁の一部や天井を敷き詰める木部とのコントラストが美しいです。
台所、タイル貼りの壁。
出隅部分の納まり。 左官職人の手仕事が光ります。
お風呂場です。天然石と杉無垢材。こちらの天井にもすこし勾配をつけて。この後外側の窓に木製建具がはいり、週明けにはいよいよ足場が解体されます。
来週には施主様にお引き渡しの予定なので、工事も大詰めいよいよ佳境をむかえています。床の養生をとり杉無垢材の床が登場しました。朝倉市の杉岡製材所・杉岡さんに用意していただいたもので、とても美しく綺麗な木目です。思わずゴロゴロしたくなる、明るく気持ちよい空間に仕上がりました。
LDKから和室をのぞむ。(土間はまだ工事中です)
こちらも木製の建具がはいって、土壁も綺麗に仕上がりました。最後に畳がはいります。
左官・江口さんの芸術のような土壁と天井のアール。
どの窓からも田んぼと山の景色が広がりとても美しい場所です。ふきぬける風と、降りそそぐ光、雨の音、水路を流れる水音、鳥のさえずり。自然の音とこの景色に工事をしている我々も癒されています。
木や土、自然素材をふんだんに使ったヘリテージ設計の家がもうすぐ完成します。
土地探しから一緒に作り上げてきた宮若市のT様邸、先日お引き渡しをしました。これからキッチンまわりの家具等を作るために引き続き打ち合わせが続きますがひとまずご夫妻の新居での新たな暮らしがはじまります。これまで長い長い道のりにおつきあい下さり有難うございました。そしてこれからも末永く宜しくお願い致します。
2018年に弊社がデザインと施工を手掛けた宮若市のT様邸。
6年たった今でもお店に買い物に来てくださったり、いつも素敵でセンスのいい暮らしをインスタグラムで発信されていて、私共が手掛けた家を大切に育てて下さっている様子を見てとても嬉しく思っています。そしてこの度、ご夫妻の熱い希望により、ご自宅の敷地内に新たに建物をつくる計画がスタートしました。
現在、大工職人の工場で木材の加工をすすめています。今回使用するたくさんの木材も、2018年ご自宅を建てた時と同様に、福岡県朝倉市の杉岡製材所にお願いしました。天日でしっかりと乾燥させ管理された丈夫で美しい杉材が届いております。
先日ご夫妻と一緒に「番付(ばんづけ)」の現場に立ち会いました。番付とは、どの材をどの部分に使うのかを決めて、その位置がわかるように部材に印をつけていくこと。本格的な工事は2月から始まる予定です。楽しみです!
現在大工さんの工房では、宮若市T邸の離れにつかう木材を加工しています。番付も終わり加工も順調です。約5メートルある立派な太鼓梁のサンプルに釿(ちょうな)をかけたので、施主ご夫妻に確認して頂きました。
写真①
釿(ちょうな)とは、斧の一種で木の表面を削るために、石器時代から使われている大工道具です。(「大工道具の化石」と言われているそうで、ベテラン職人の佐々木さんがお持ちでした!)直角に曲がった柄の先に平たい刃がついています。この刃を鍬(くわ)のように振り下ろして、材料を粗削りするのです。削った様子が2枚目の写真。他にも職人の手によって手刻みで仕上げられた木材が着々と準備されています。
このようにこちらの現場では、伝統的な工法や道具をもちいて丁寧に建物を建てていきます。
いよいよ今週末より、宮若市のT邸にて棟上げを予定しています。ずっと大工職人の作業場で加工をすすめていた木材は、時間をかけてすべて手刻みで仕上げられました。T邸の離れとなるこの建物は、プレカットされた木材を一切使わず、すべての木材を大工職人の手によって加工されたものを使っていきます。工場で機械が自動的に加工するプレカットに対し、大工職人が木のくせ(木の表・裏や木目によって反り捻じれ曲がりが出る方向や強度が違う)を読み一本一本の材料に墨を付け、ノコギリやノミ、カンナを使い手作業で加工を行う工程が『手刻み』と呼ばれます。ここでは、手刻みの木材をはじめ、建て方も伝統的な工法をもちいて進めていく予定です。
母屋が建って6年、外壁も風雨にさらされ経年変化が進みとても良い雰囲気に成長しています。その姿をこうして見せていただくことができて嬉しい。建物のまわりにはたくさんの薪が積み上げられ、草木が植えられ、この家での暮らしを大切に育まれている様子がよくわかります。
宮若市T邸の離れでは、棟上げと屋根じまいを終えました。
それから数日雨が続きましたが、悪天候の中、現場では瓦を葺く作業が続いています。